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今日も部屋まで広がってくる焼き立てパンの匂いにつられ、紺色のパジャマの上に白のガウンを羽織ると、ウキウキとした気分で部屋を出る。
でも、ダイニングに行く前に私にはやらなければいけないことがある。
私の隣の部屋にいる二歳年下の妹の愛莉を起こしに行くため、部屋の扉を一応ノックした。
「愛莉ー、朝よー」
ノックをして声をかけてみたけれど、全く反応はない。
朝が弱い妹を起こすのは小学生の頃から私の役目だ。
もう慣れたとはいえ、ため息はやっぱり出てしまう。
「愛莉ー、起きて。遅刻しちゃう」
「そんな優しい声で起きるわけないだろ。思い切り布団を引っぺがしたらいいんだよ」
遠慮がちに愛莉を起こしていた私に声をかけてきたのは、愛莉の部屋と向かい合わせの部屋から出てきた眠そうな顔をした弟の悠人だ。
高校三年生の弟は今から部活に向かうらしく、肩から大きな部活鞄を下げている。
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