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わなわなと震える手で紙袋を取ろうとする。
でも、そこで躊躇したのは私に僅かな理性が残っていたからだ。
もしこれが私へのプレゼントだとしたら……?
いや、それはあり得ない。
彼は私の好みを熟知しているから、ここのブランドのジュエリーには興味がないとわかっているはず。
だとすれば、やはりこれは他の女性へのプレゼント……!
これはいつなくなるのか様子を見て、誰かにあげた時に問い詰めるべきだろうか。
でも、そんな器用なことが私にできるの? 今でも怒りと嫉妬で震えているというのに。
「はぁ……」と気持ちを落ち着かせるために大きなため息をつく。
大切な娘二人に結婚が決まり、高校卒業後はどうするのかと心配でたまらなかった息子が自分でやりたいことを決め、これで大きな心配事がなくなったと思っていたのに……
まさか、今になってこんなことが起きるなんて……
彼に女の影があったことは今までないとは言い切れない。でもそれは全て女性側の熱心なアプローチによるものだった。
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