夏が暮れる日

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夏が暮れる日

季節は、夏。田舎の細い砂利道の端で刻一刻と太陽が沈む中、僕と君は座りながら話をしていた。 「ね、ね、君は気づいてる?」 「なにがさ。」 「うん、やっぱり気づかれてないね。」 「な、なんだい。なんかついていたりするのかい?」 「そうじゃないんだけどー。ある意味ついてる?」 「怖い言い方するなよ。びびるじゃないかい。夏だから、幽霊でもとり憑いているような言い方をしてさ。」 「あ、幽霊じゃないよ。だいたい、こっちにきてから一回も見たことないし。だけど、見てみたいなー。そしたらぜっーたい面白いのに。」 そう言って君は、立ち上がり僕の前にきて唐突に言った。本当に唐突に。 「あと、もう少しでここに隕石が落ちてくるんだ。」 「何を言ってるんだい?」 「ほら、あそこ。うーんと光ってるの!」 君が指を差すその先で、確かに熱々のマグマをさらに煮詰めたようなどす黒い色の物体が迫って来ていた。 「ね、ついてるでしょ!私と一緒に居るおかげだからね 。」 「いや、相当な確率だけどさ!!一緒に居るのは関係ないよね!」 「関係あるに決まってんじゃん!ちなみに、隕石で死ぬ確率って、竜巻と雷と台風の3つに襲われる確率より低いんだって(笑)。」 「(笑)って、笑ってる場合かよ !早く逃げようよ!」 「えー。こんなに凄い死に方のレポートが取れるんだよ。見てようよ。」 「馬鹿なこと言ってるんじゃない!自由人なのは知ってるけど、自分の命がかかってるときくらい動けよ!早くいくよ!」 そう言って、動かそうとするけど、 「おかしいな…。」 「ちょ、待ってよ。」 抵抗する。そして、こんなことまで言う。 「ここで見届けたないといけないの。大丈夫、わたし………だから。」 「え?何だって?」 「だー……ら!この……遠い…所か………た……………なの!」 「それって…」 隕石がどんどん近づいてきて轟音が鳴り響く。君の声はほとんど聞こえなくて、だけど、口の形で何を言ってるのかは分かって。信じられないけど、君は確かにそんな感じがいつも出てて。 う?いつも? そんな小さな違和感が積もり始めたことによって、僕の脳はミソはこの瞬間にフル回転を始めた。 このとき、隕石が落ちる5秒前 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 君と出会ったのは今日が始めてだった。長年一緒にいたような記憶があるが、今なら断じて違うと言える。 そういえば、君の頭からはウネウネ動く謎の触手みたいなのが生えている。 「ね、ね、君は気づいてる?」 「うん、やっぱり気づかれてないね。」 て聞いてきたのは、洗脳がされているかの確認だったんだ。ずっと頭の上でウネウネしてたのに全く気づかなかった。 幽霊の話の中でも、生まれてからではなく、こっちにきてから見たことないと言っていたし、所々におかしい発言がたくさんあった。 隕石が降って来るときに言った、「ね、ついてるでしょ!私と一緒に居るからおかげだからね。」と言うのは冗談じゃなくて本当で…。 この瞬間、全てが繋がった。あっという間に洗脳する手腕、人間に対する興味心、隕石をコントロールする技術、頭にウネウネと生えている触手。 君は宇宙人だったんだね。 洗脳されてるからかもしれないけど、君へ対する想いは溢れてきて…。偽物の気持ちかもしれないけど、伝えなくちゃって僕の心が叫んでる気がした。 「君のことが好きでした」って。 このとき、隕石が落ちる2秒前 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 「君のことが…」 ゴゴゴゴゴ、ドーン この音が聞こえた瞬間、僕の意識は途絶えた。 目が覚めると砂利道の真ん中で寝ていた。ここに居た理由も含めて、何も覚えていなかった。あの日のことは全部。 ただ、気になったことと言えば、あの日から頭の上にウネウネしたものが生えてきた。僕の感情に連動しているようで、勝手に動く。少し心配だが問題ないだろう。…………………と思う。 やっぱり、私の見立ては間違ってなかった。隕石がぶつかった人は触手が生えるて、新しい宇宙人が生まれるんだ。 やっと、これで君と両想いになれるね。
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