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アンパン
アンパン大好きなお爺ちゃまのお話です。
ほぼ一日中、口を開くと
『アンパンくいてぇ〜。アンパンは、ワシの命やぁ』
とひたすら言い続けるお爺ちゃま。
夜中も
『ばーさん、腹減った。アンパン買ってきて。』
とひたすら言い続けるお爺ちゃま。
食事制限があるために、アンパンは提供出来ません。
1週間に一度だけですが娘さんの面会があると、アンパンを差し入れで持参してくれます。
その時だけは、食べてもOKなんですが、この後から猛攻撃が始まります。
『元気なんだから食べても良いんだぁ!』
『ワシからアンパンとったら、何にも残らない。ワシを殺す気か?』
などなど、食べさせてあげたいのは山々です。
《けどね、お爺ちゃまがアンパン食べる事で死ぬかも知れないのだよ?早く死にたいのかい?》
と心の片隅で思う今日この頃。
面会後の翌朝、
『腹減った昨日のアンパン持ってこい!』
と朝食後に叫び始めます。
周りのお爺ちゃま・お婆ちゃまで理由を知っている方は、触らぬ神に祟りなしで見向きもしませんが、
知らない方は、擁護し始めます。
『何で食べさせてあげないの、ケチね。』
と・・・・。
知っている方は、職員の代弁をしてくれます。
『『あんた、この人にアンパン食べさせて死んだら責任取れるんか?取れるんなら、次来る時に買って持ってきてやれば良いだろう。』』
と、
アンパン大好きお爺ちゃま、歯が全く無く嚥下も悪く食事はムース食。
娘さんが来て食べれるのは、娘さんがナースで何か在れば吸引器で直ぐに対応出来るから、許可が出てるだけの事。
理由を知らない方とお爺ちゃま本人に毎回説明するのも大変、どうにかならないかな〜
因みに、アンパンをムース食に加工して提供しましたが『これは何だ?ゲロみたいなアンコ食べさせるのか!』激おこ状態になりました。
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