知らない内に

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知らない内に

違う。まったく違う。全然違う。 仲良しなんかじゃない。 休みの日に会った事もないし、一緒に買い物にも行った事もない。 ただ、私は真似されてるだけ。 化粧品が被る事はよくある事なので、最初は偶然だと思っていたけど、化粧ポーチとか、ハンカチとか、ちょっとした物が同じなんてそうそうないから、あれ?と思っていたら、私服まで被るようになっていって、髪型まで似せてくるようになった。 断る理由もないので、お昼を一緒に食べるグループとして、話したりはするけど、友達という訳でもない。 私が持ってる物をいつも誉めてくれていたけど、単にただの会話だと思っていた。 どこで買ったかとか、やけに詳しく聞いてきてたのが、真似するためだと気付いた時は、「気持ち悪い」と、不快に思ったけど、口に出しては言えなかった。 真似してくれる程、私はセンスがいいんだ、となんとか本心を騙すしかなかった。 社会人だから、社内の空気や人間関係を悪くしない為に…。 本当は、なんで真似するのか問いただしたいし、やめて欲しいし、気持ち悪いって言いたいけど、何年も先輩の人に言える訳がない。 仲良くもないけど、仲良しだという事にしておくのも、世渡りの1つかもしれない。 けど近々色々買い換えたり、イメチェンしてみたりしようと考えている。 あの先輩と双子みたいで仲良しだねと言われる事はやっぱり嫌だ。
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