言えんが応報

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 とある晴天の日。  郊外の小高い丘の上にある高校の放課後。  自然豊かで、羨ましいとよく言われる。確かに遠くを見渡せばいい眺めだが、目前には雑草がボーボー生え鬱蒼としていたりする。何が良いのかわからねぇ。などとぼんやり歩くDK(男子高校生)ハヤト。校門を抜け、「かったりーなー。」と大声で伸びをしながらだらだら歩く。何とも芝居じみた緩慢な動きだ。  高校の敷地沿いを歩き、古びたバスケットボールのコートの前でふらっと立ち止まり、そこにあるフェンスに寄り掛かると、今来た校門をちらりと見やる。まだ来てねぇな、とおもむろにスマホを取り出しもてあそぶ。  さりげないよう装っているが心臓はバクバクだ。  今日こそ、アカネに話しかける。  そう決めていた。  ミッション1。  一緒に帰る。  頭の中でぐるぐる思い巡らす。  何度考えていた事だろう。
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