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カチコチに固まったコータと意を決した母親がテーブルにつく。
父親が穏やかな声で口を開いた。
「家の雰囲気をこんな風にしてしまったのは父さんなんだな。いつの間にか仕事の事で2人に当たってしまっていたんだな。完全に自分を見失っていた。コータ。ゆうべ、あんなちっぽけな事でカッとなって掴みかかってすまなかった。ごめんな。その時の母さんの顔を見て気が付いたんだ。あんな目を…。今までどんな思いをさせてきたのか。今まで一体何をやってきたんだろう。」
「違うよ。ボクが悪いから…。」
「そう思わせていた父さんが悪いんだ。もう大丈夫だ。もちろん、コータが悪い事をしたら、それはちゃんと叱るよ。でも今までみたいに理不尽には…。理不尽って言葉は分からないか…。」
ちょっと苦笑いする。
コータは母親の方を見ると、ボロボロ泣いていた。
こんな穏やかな父さんを見るのは本当に久しぶりだ。
そうだ。オレが父さんに感じていたように、リョウもオレにこんな風に感じてるのか。
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