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一方、その突き飛ばした黒い方。コータ。
また、思わずリョウを突き飛ばしてしまった。そうしたら、ガラの悪いチャラチャラしたDKと目が合ってしまった。「やべっ!また殴られる!」と思い、全速力で逃げ出した。
胸が痛くなり息が切れる。追って来ていない事を確認すると、ゆっくり歩きだした。
また、やってしまった。母さんにも、先生にも言われている。悪いとは分かっている。でも思うより先に手が出てしまう。アイツ、もっと堂々としてりゃいいんだよ。グジグジしてるから悪いんだ。
「ただいま。」暗い気持ちでコータは玄関をくぐった。
奥から母親が出てくる。
「コータ。おかえり。あら。元気ないね。」
「別に…。」
「遊びに行かないの?おやつ、テーブルの上にあるからね。」
「今日、父さんは?」
「普通だと思うけど…。あぁ。コータ。」
母親が悲しそうな顔をした。
「ごめんね。お母さんがお父さんに言えないから。今度はぶたないようにお母さん、絶対言うから。」
「いいんだ。オレが悪いから…。」
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