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「この町は、中規模地方都市の割には、光害が少ないんだよ」
光害とは、ネオンなどの過剰な街灯りのことだ。天体観測や生態系への悪影響が懸念されている。人口が多い都市部で、環境問題になっている。
2年生の猫っ毛の先輩が、僕らに話しながら、屋上のドアを開けてくれた。重い鉄の軋む音がして――
「ようこそ、我々の部室に――!」
星空が広がっていた。
当たり前の、見慣れた住宅街の上に開けた空間なのに、細かな塵を吹き付けたような一筋の流れが横たわっている。
後から思えば、あの夜を越える星空に、僕は何度も出会っている。でも――あの時以上に衝撃を受けた夜空は、思い出せない。
それは征臣も同じだったらしく、僕らは2人揃って正式に入部した。夏休みが終わる頃には、僕らの地道な勧誘活動もあって、1年生は5人に増えていた。
そして、ミスター無愛想だと思っていた征臣は、打ち解けると意外と冗談も言うし、眼鏡を外した笑顔が妙に幼いと知った。クラスは違えど、彼の存在は、急速に親友の領域に向かい――実際、冬になるまでには親友の座を獲得していた。
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