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「征臣」 「ん? ああ、起きたのか」  彼は、態とらしい欠伸をして、目尻を擦った。  視線を受け止める自信がない僕は、ゆっくりと身を起こし、淡く曇った窓を拭く。 「今、何時」 「3時15分」 「雨、止んだんだな」 「ああ」  征臣は席を立つと、開閉ボタンで列車の外に出た。 「北斗!」  少し上ずった声に、はっきりと呼ばれてホームに出た。台風の湿度が混じった土の匂いが立ち上っている。 「あ……わぁ!」  青白い照明が届かない上空に、眩い光の洪水が広がっていた。 「流れた!」 「ペルセ群だ」  流星なんか、山ほど観てきた。痕を残すような強い流星も、天空を横切るほど長い流星も。  大小長短様々な宇宙の欠片が、ペルセウス座を中心に放射状に溢れ出す。  気付いたら、僕の頬にも一筋、流れていた。征臣の感触が蘇る。あの瞬間、冷たい指先は震えていた。
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