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 クリスマスを家族で過ごしていたのは、何歳までだったろう。いつから、恋人と過ごす日になったのだろう――。  シティホテルの中庭に立っている大きなモミの木は、この日のために金銀の煌びやかなイルミネーションをまとっている。オーナメントは、大小様々なサイズの透明な涙形のガラスだけだ。プログラミングされた5つの点滅パターンが、延々と繰り返されている。きっと最後のお客が店を出るまで点っているのだろう。  時折、大きな梢が震える。室内の乾燥気味の暖かさと対照的に、外気に晒されたツリーは、凍えているみたいだ。  ――ピピピピピ  周囲を気にしつつ……自分以外のお客達は疾うに食事を終え、席が空いていることを思い出す。  それでもこっそり覗き込んだスマホの画面に、表情が強張った。 『商談が長引いている。すまないが、1人で食べて帰ってくれ。支払いは済ませてあるから心配ない。後でまた連絡する』  電源を切って、スーツの内ポケットに無造作に突っ込む。  ――勝手だ。いつも、そうだ。  クリスマスを、イブではなく「当日」過ごそう。そう言ったのは、向こうからなのに。
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