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そう思って立ち止まっていると、琴音ちゃんがギュッと手を握って引っ張る。僕は恥ずかしくて赤くなった。
琴音ちゃんに手を引かれ、校舎の中に入ると、2階の2年4組に行く。ガラッとドアを開け足を踏み入れる。クラスの皆が不安気な顔をして振り返った。同時にガッチャンとドアに鍵が掛かる音が聞こえた。琴音ちゃんが教壇に立つ。教壇の横には大きなストーブが置かれている。
「えー。クラスのみんな、全員揃ったかな。はいそれじゃあ、これから人間は好きな物だけを食べて生きていったらどうなるのか、実験を始めまーす。あっ、これはきちんと厚生労働省の認可のもとで行うので犯罪とは違いますからね。けれど政府の政府が秘密に行う人体実験なので途中で逃げ出そうとかした場合は自衛隊が抹殺することになってるから、その点は注意してくださいね。あ、それとこれは生き残りゲームでーす。後ろの人ちゃんと聞いてますかあ?抵抗したり協力しないと銃殺しますよー。最後まで誰かが生き残れるまでこのゲームは終わりませんからね。それから何故この高校が選ばれたかは神のみぞ知るでーす」
僕は血の気が引いた。唐揚げと答えてしまった。胃がもたれそうな気がする。僕が茫然自失としていると大樹くんが僕の肩を叩く。
「春生は何て答えたんだよ。僕はブロッコリーって言っちゃたんだ。参ったな」
「ブロッコリーだけでは身体がもたないだろう。僕は唐揚げだよ。今、後悔していたんだ」
「そうか、お互い気が重いな」
「うん、でも聞いた話だとチョコレートって言った子もいるらしいよ」
「あー、それ最悪だ。一番最初にリタイアするんじゃないのか?」
「でも、リタイアって出来るのか?生き残りゲームって言ってだろう」
「そうだな、生き残るんだったらカロリーの高い食べ物のほうが得かもしれないな」
大樹くんは腕組みをして考え込む。確かにブロッコリーよりはチョコレートの方がカロリーは高い。そう考えれば唐揚げは有利なのか?
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