フードバトル(生き残るのは誰だ)

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 看護師さんの服装をした人たちが前のドアから入って来た。この人たちも政府に雇われているのだろうか。自衛隊の人が銃口を向けて狙っている。変な動きをしたら射殺されるのか。物々しい雰囲気に心臓が縮みあがる。僕は順番を待って採血をして貰った。 「みんな、朝食にするよー。昨日も言った通り調味料は自由だから工夫して飽きない様に食べてねー。あっ、でも昨日の会議で決まったんだけど、健康を害するほど調味料をかけないことー。自殺防止の意味でね」  ああ、そうか。醤油を飲んで死ぬ人がいると聞く。でも、こんな生き残りゲームで自殺を懸念するなんて馬鹿げている。最後まで生き残りたいのが普通ではないのか。待てよ。と、いう事はこのクラスは32人の生徒がいる。琴音ちゃんを抜きにして30人が死ぬのをただただ待たなくてはいけない?僕は頭を掻きむしった。脳みそをフル稼働させて、このゲームを終わらせる方法を考えなければいけないな。  今日も唐揚げが5つ目の前に置かれた。優香ちゃんが助六寿司を前にして渋い顔をしている。 「私、何時も朝はパンなの」  僕もパンだ。朝食はマーガリンを塗ったパンを食べてコーヒーを飲んでいる。みんな朝からキツイだろうな。あっ、でも大樹くんはブロッコリーか。それだけではお腹が空きそうだ。多分、身体がもたないんじゃないかな。僕は「パンが食べたいよね」と言うと琴音ちゃんがこちらを向いた。 「みんな、ブツブツ文句を言わなーい。あっ、それから家族の人たちには政府の大事な仕事で寮に泊まり込むって言ってあるから誰も助けは来ないよー。ま、一年経って生きているようだったらゲームアウト。だから来年のお正月には帰れるでしょ」  そういえば人間は水だけで2ヶ月くらい生きられると聞いた覚えがある。食べ物が食べられるのだから、半年は生きれるな。あっ、でも昨日、隣のグループで食事をしていた子を見たらリンゴを食べていた。流石にリンゴで半年は・・・。
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