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「琴音ちゃん、もう一度、好きな食べ物を選ばせてくれないかな」
「ダメダメー、そしたら、みんな無難なものを選ぶでしょ。これはね、運もあるの」
流石に言うことを聞いてはくれないみたいだ。優香ちゃんが眉を下げて言う。
「春生くん、いいの。助六寿司でも長生きは出来そうだもん。唐揚げもいいけどね」
「優香ちゃん・・・」
大樹くんがブロッコリーを見つめながら言う。
「マヨネーズがOKなら救われるよ。それで多少のカロリーが稼げる。昨日訊いてみたらドレッシングも大丈夫だって」
まあ、唐揚げもマヨネーズがありだな。ドレッシングは流石に不味そうだが、もしかしたらゴマドレッシングなんかはイケるかもしれない。でも、そうしたらフルーツを選んだ子は最悪だ。
朝食が終ると、普通に授業があった。先生が国語や数学、色々な教科を教えてくれる。
「琴音ちゃん、体育はないの?」
「ありまーす。体育館だけどね。勿論、自衛隊の人が見張ってるから逃げ出そうとする人は死が待っているよ」
体育が出来るんだ。身体を動かさないと健康に悪いからかな。でも、こんな時に健康のことなど考えてはいられない。
唐揚げを食べる毎日を繰り返す。気が付くと明日はクリスマスイブになっていた。
「春生はいいよなあ、唐揚げだもん、クリスマスって感じだよ」
大樹くんが恨めしそうに言う。
「ああ、でも20日以上唐揚げを食べてみろよ。胃がもたれて気持ち悪い」
「僕もガッツリしたもんが食べたいよ」
それを聞いていた優香ちゃんが渋い顔をする。
「私、ブロッコリーって言えばよかった、野菜が欲しい」
僕は「えっ、でも助六ならキュウリが入ってるんじゃない」と言う。
「ちょっとだけだよー。あーシーザーサラダが恋しい」
確かに僕も野菜が食べたい。レタス、キャベツ、トマトにキュウリ。新鮮な生野菜求む!
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