トマトの神様

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修二と別れてから、赤い彼にも会えない日が続いた。 あまりにも見かけることがなくなったので、やっぱりあれはトマトの神様で、あの日の出来事は幻だったんだと思うようになっていた。 良いことも悪いこともなく、平凡に日々が過ぎていった。 そんな中、店長の話が本格的になり、他店に研修に行くことになった。 研修する店舗は大型店で、都心の中でかなりの客数を誇る店舗だった。 私の働く地方店なんか、比じゃないくらいの忙しさに目が回るようだった。 幸い、毎日の忙しさで気が紛れ、仕事に打ち込めたことで、あれ以上ヘコんでる暇もなかった。 研修最後の日曜日、同じショッピングモール内のCD店に、金髪や赤の髪をした人が沢山いるのが目に付いた。 何かのイベントだろうか? 赤い髪の人を見て、トマトの神様のことを思い出したが、家の近所じゃないからいる訳ないか…と、頭からその考えを消した。 休憩時間、たまたまCD店のイベント時間と重なり、その音に吸い寄せられるように足を踏み入れた。 インストアライブをしているようで、前に進むことは出来なかったが、なんだか心地いいリズムの音だと感じた。 チラリと見えるドラムの人が、赤いマッシュルームヘアで、またトマトの神様を思い出した。 こんなにトマトの神様のことが頭を過るなら、家に帰ったらトマトの神様を祀る祭壇を作らなければ…と、くだらないことを考えながらCD店を後にした。
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