トマトの神様

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やっと、一週間の研修が終わり、明日家に帰ることになった。 明日は少し観光してから帰ろうと思いながら、ホテルまでの道を一人歩いた。 キラキラ光る、都会の夜の景色。 隣に修二がいてくれたら…なんて、一人になると、今でもそんなことを考えてしまう。 心が寒いと、余計に寒さが身にしみる。 マフラーを持って来ればよかったと後悔して、コートの襟を少し立てた。 前から派手な髪型の集団が歩いて来た。 さすが都会だな〜とぼんやり眺めていたら「あれ? お姉さんやん!」と聞き覚えのある声が聞こえた。 目を向けると、そこにはトマトの神様がいた。 真っ赤な髪が少し落ちてピンク色になり、少し印象の違う彼が目の前にいた。 「?! なんでここで会うの?」 「俺の方こそびっくりしたけん!」 「髪、ピンクだね」 「あー、忙しくて染める暇なかったけんね」 「でも、なんでここにいるの? 遊びに来てるの?」 「仕事。今日はラミネでインストアライブやった 一応ミュージシャンやっとーよ、俺」 彼から仕事というワードが出たのは意外だったが、ミュージシャンと聞いて、赤い髪の理由がわかった気がした。 「ラミネ? もしかして、あの人だかりの中にいたのはトマトの神様だったの?」 「ん? お姉さん、見てくれたと?」 「あ、私も仕事でラミネの中にある店舗に研修に来てたから、たまたま」 「運命やね〜」 と、嬉しそうにニコニコ笑う赤い彼が、都会のネオンに照らされて眩しくて、嘘でもそんな風に言ってくれることが嬉しくて、泣きそうになった。 この笑顔の前では、不思議と素直になれてしまう。 魔法でもかけられたみたいだ。 やっぱり神様なんじゃないか?!この人!なんて、あり得ないことを思ってしまう。
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