トマトの神様

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久しぶりに会えることに浮かれて、無口なことはいつも通りで、こんな告白をされるなんて、予想もしていなかった。 鈍感すぎる自分が嫌になった。 今日久しぶりに会えると浮かれていたのは、私だけだったと気づくと、情けなくて、惨めで、涙が溢れた。 一人になったせいで、我慢してた思いが、一度堰を切ってしまった涙を、止めることはできなかった。 でも、涙を拭う気力もなく、ぼやける視界のまま、フラフラと歩いた。 ドン!! 人にぶつかってしまった。 情けない。 でも、謝る気力も、立ち上がる気力もない。 心の中でぶつかってしまった相手に「ごめんなさい」と謝った。 「だだ大丈夫…ですか? うわっどうしよう、ごめんなさい」 あぁ、ぶつかった人がいい人そうでよかったと、弱い思考でそう思った。 でもなんだか、このオドオドした声に聞き覚えがあった。 顔を上げてみると、赤い彼が目の前にいた。 「えっ?! えぇー泣いてる!! どどどどうしよう 痛かったですよね? ごめんなさい、ごめんなさい」 座り込んでいるので、土下座に近い格好で謝ってくる彼に少しだけ癒されて、思わずクスリと笑ってしまった。 「あっ、笑ってくれた! よかった 怪我ないっちゃね?」 「こちらこそ、下向いて歩いてて、ぶつかっちゃって、ごめんなさい」 「いや、俺も歩きスマホしてしまってたので…えっ? あれ? 昨日会ったっちゃね?」 「あっ、うん、覚えてたんだ」 「まぁ、結構衝撃的な光景だったんで」 と、凄く素敵な笑顔で笑うもんだから、昨日の自分の行動を思い返して、めちゃくちゃ恥ずかしくなった。
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