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7月23日 天体観測 2。
2人で体温を分け合っていると体からどんどん力が抜けていく。彼の匂いに包まれていると懐かしいようなせつないような気持ちになって、フワフワの軟体動物みたくなってしまう。
昔、まだ幼かった頃並んでお昼寝をしていたのを思い出す。目が覚めて隣に彼がいるとすごくホッとしてしばらくぼんやりしていたんだった。
「見えねーなあ」
とん、と肩に体重がかかる。柔らかな髪が耳をくすぐった。
「見えないねえ」
肩に乗せられた頭の上に自分の頭を重ねて寄り添った。
「もしかして肉眼じゃ無理だった?」
「かもねぇ」
見えなくてもいっか、と思う。こうしてぴったりくっつきながら同じものを見ている。それだけでも充分だ。
「次は何千年も後だってさ」
彼の言葉に迷いなく答えた。
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