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赤黒い異形の空の下に貧相なあばら屋がいくつも立ち並ぶ。その真ん中に、異形の植物でできた。今にも崩れ落ちそうな見晴らし台があった。
その見晴らし台の上で、ガリガリにやせ細った男とも女ともつかない人間が、うつろな目で遠くを見ていた。
「また来たか、哀れなことに。」
人間はポツリと呟くと、歪な梯子を降り、ひび割れた大地に足をつける。
人間の視線の先では、一人の女性が木製のステッキを振り回し、鼻歌を歌いながら歩いてきていた。
その女性は秋物のベージュのコートに身を包み、白いシルクハットを被り、シークレットブーツで身長を高く見せていた。
異常なあたりの光景を意に介さず、顔には不敵な笑みを浮かべている。
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