20人が本棚に入れています
本棚に追加
一方、刈り取りを終えた人間たちは、作物を何本かずつ抱えて村の中心部にむかって歩いて行った。
見晴らし台の隣りの地面に作物を積み上げると、皆そこを囲むように土下座した。
すると、見晴らし台のしたの地面が裂け、そこから何かが現れた。
それは人間の口のようであった、しかし唇の部分はなく、歯と歯茎が剥き出しになっていた。下半身には、異形の肉でできた蜘蛛の様な身体があった。
「ひぃ!」
男達は思わず互いに抱き合い、涙を流した。
異形の「領主様」は大きな口を開けると、積み上がった肉の塊に食らいつく。血飛沫と悲鳴が上がり、領主は満足そうに肉を咀嚼した。
「ば、化け物…」
友人が思わずそう呟いた。
その瞬間、領主は咀嚼をやめて男達の方を向いた。
最初のコメントを投稿しよう!