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男達は悲鳴を上げる。
「口の利き方を知らない無礼者め!」
領主は恐ろしい声でそう一括すると、友人が苦悶の叫びを上げる。
「どうした!大丈夫か!」
男は声をかけるが、友人は苦しそうに全身を掻き毟る。やがて服をビリビリに引き裂いた。
痙攣とともに全身の毛が抜け、徐々に形が変わっていく。
「…まさか」
友人は徐々に作物へと姿を変えて行く。
領主はそのさまを見て笑うと、再び作物を食べ始めた。
領主が作物を食べ終わり、地面に帰って行くころには、友人は完全に作物になっていた。
うなだれている男に、人間が鍬を差し出した。
「明日になったら、畑の隅を耕して、これを植えなさい。慣れないうちは一本からで構わない。」
男はしばらくうなだれていたが、やがて顔を上げると、虚ろな目で鍬を受けとった。
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