ガーザスにて

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彼は今や"総隊長"という役職についている。 インセンス帝国には一般兵を取りまとめる"軍隊長"が約20名ほどおり、その上にシエンなどの"将軍"という地位が存在した。 しかし、グリーフ軍を取り込んだ事や、"皇将軍"という地位を確立したことにより、統率はより困難になった。 その為、将軍の下に新たに軍隊長をまとめる"総隊長"という役職が出来たのだ。 名前こそ同じだが、グリーフ王国の総隊長とはまるで異なる。 (ったく…グリーフ王国が滅んでも戦争が終わらないどころか、前より忙しくなってんじゃねぇか。将軍の連中も俺に丸投げしやがって、どうなってんだ、くそっ!) エピは心の中で舌打ちをした。 全てが報われると信じて戦い抜いたつもりが、気づけば新たな国を攻める指揮をさせられているのである。 すると兵がまた慌てた様子で駆け寄ってきた。 「総隊長!民間人が責任者に合わせて欲しいと仰せです!」 「あ?要件はなんだ?」 「ここを通過したいそうです…!」 「はぁ!?今日は軍事があるから終日通行禁止なのは知ってるだろ!何でてめえでそれを言わねぇんだ!?」 「あ、いや、その、どうしてもと仰っていたので…わたくしの独断では後悔しそうな気がして…」 「何わけわかんねぇこと言ってる?わかったもういい!俺が行くからそいつのとこへ案内しろ!」 「は、はい!こちらです!」 (イライラするぜ…戦場を駆け回ってる方がまだマシだ…) そんな事を思いながらエピは民間人のいる所へ案内される。 そこには20代半ばくらいの、髪の長い落ち着いた雰囲気の女性が立っていた。
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