4人が本棚に入れています
本棚に追加
閉じられた瞼に長いまつ毛。
白くきめ細やかで、滑らかな肌。
幼さを残し、大人になりきれていない顔つき。
もしこの人形が本物の人間であったなら、私に近い年頃なんだろう。
今はまだ、お父さんが作ったこの楽園の外を怖がる私だけれども。
この子が私とお父さんをもう一度繋げてくれたように、いつか踏み出す時が来る。
けれど今の私には、早くのぞみに会いたいという願いが何よりも優先された。
地下室の奥に進むと鳴り響く電子音。
お決まりのセリフよりも先に、私が口を開く。
「おはよう、のぞみ」
姉でも妹でも母でもない。けれど私の大切な、家族へと。
最初のコメントを投稿しよう!