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 苦しい。嫌なことを思い出してしまう。何か、何か考えなきゃ。  その場にうずくまって何もできない私の背中から、何かが覆いかぶさってきた。 「のぞみ……」  やめてよ、私は今そんなことができる状況じゃない。伝えたいけど、喉をヒューヒューと空気が過ぎ去るだけで声がうまく出なかった。  アンドロイドの腕が二本、背後から私の胸へと伸ばされる。嫌だ。触るな。こんなことしている場合じゃ――  ぎゅっと目を閉じて、どれくらい時間が経ったんだろう。  いつの間にか呼吸は整っていたし、乱暴もされてはいなかった。  のぞみは黙って、ふわりと私を抱きしめてくれていた。
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