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ここで言えなきゃ、のぞみに聞いてもらわなきゃ、私は一生このままな気がする。そんなのは嫌だ。
肺の中の空気と勇気を振り絞って、私はどうにか続く言葉を紡いだ。
「そのせいで周りとどんどん疎遠になっていくうちに……私、本当は悪くないのにお父さんのことまで嫌いになっちゃった」
言い終えた瞬間に吐く息が小刻みに震える。また過呼吸の一歩手前になるのかと思ったがそんなことはなかった。
その代わりに目から涙が溢れた。
生暖かい涙が頬をつたい、また立っていられなくなる。
そんな私を、今度は正面からのぞみが抱き留めてくれた。エプロンドレスに顔をうずめると、私は小学生に戻ったように声をあげて泣いた。
あれからずっと、誰かと深く関わることを避けていた。
尊敬できるはずのお父さんまで遠ざけた。
お父さんを信じる純粋なのぞみを、汚いものをみるような目で見てしまった。
本当に間違ってるのは、歪んでいるのは私なのに。
涙と大声と一緒に、私が四年間溜めてきた感情も流れ出していく。
こういうときに誰かに触れていられるって、こんなに心強いことだったんだ。
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