高校時代

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 少し話は戻りますが、高校二年生のある日、夜にとてつもなく歯が痛くなりました。  市販の鎮痛剤も効かず、救急外来へとかかりました。  原因はただの虫歯。強めの鎮痛剤と抗生物質か何かを処方してもらったような気がします。  診察中に医師が、虫歯とは無関係に、私の首もとを触って「ちょっと腫れてない?」と言いました。私には特に自覚症状もなく、違和感もありませんでした。  しかし、翌日代謝内分泌科に受診するよう勧められ、予約も入れてもらいました。  初めて聞いた科の名前に、何事かと胸はざわざわ。ただの虫歯で救急にかかっただけなのに、何故か大事になってしまいました。  虫垂炎の時と似たような感じですね。  翌日、学校を遅刻していったのか休んだのかは覚えていませんが、素直に受診しました。  検査の結果、「甲状腺亢進症」と診断されました。俗にいうバセドウ病です。サッカーの本田選手や歌手の絢香さんと同じ病気です。  今では、この芸能人方のおかげですっかり有名な疾病となりましたが、当時は周りの人も「何それ?」状態でした。  ただ、私はとても嫌だった。母が数年前から、その病気を発症していたからです。母の場合は、振戦(手の震え)や眼球突出も見られ、体温調節もできずに真冬に暑いと言って半袖でいたり、真夏に寒いと言ってコートを着ているといった奇妙な症状があってから初めてわかりました。  私も、母が甲状腺の病気だと知った時には「何それ」と言って笑っていましたが、一生薬漬け、ホルモンの病気だから調節は難しいと聞いて一気に怖くなったのを思い出したからです。  母の場合は、薬の調節がうまくいかずバセドウ病(亢進症)と橋本病(低下症)を繰り返していました。  バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気なので、何もしていなくても、常に全速力で走っているのも同じくらい体力を消耗します。  ただ単に、自分には体力がないだけだと思っていましたが、階段を昇るだけで動悸と息切れがするのも、夜しっかり眠っているのに授業中眠くて仕方がないのも理由がわかりました。  一年生の時には、毎日朝起きられず、遅刻していましたが、考えてみれば血圧も80/40mmHgほどしかなかったので、低血圧で起きられなかったのでしょう。  担任にも学年主任の教師にも「夜遊びしてるんじゃないか」「自己管理ができない」「やる気がない」「怠慢だ」と散々な言われ様でしたが、本当に凄まじいくらい体力が奪われていくのでとにかく倦怠感と疲労感は半端ないです。  そこからは、私も薬漬けの日々が始まります。しかし、継続して薬を飲む習慣がないので、どうにも内服忘れが目立ちます。  服薬忘れか、副作用かどちらが原因かはわかりませんが、体重が1週間で10kgも増えたり、とにかく体重変化が酷かったです。
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