高校時代

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 高校生時代、やる気のなかった私に担任が「社会人になったらもっと大変なことがたくさんあるんだぞ。勉強だけしてればいい今とは違うんだ。今、まともにそれもできなくてどうする」と言われました。  社会人になって正社員として働いてトータル10年近くなりますが、今でもこの言葉には違和感しかありません。 「社会人になったらもっと大変」  本当にそうなのでしょうかね。私は、当時の学生時代を振り返っても、苦痛ばかりです。学生だって人間関係で悩むし、教師と生徒の上下関係で悩むし、将来のことで悩みます。  その時代、その環境に置かれた人間にしかわからない悩みも痛みもあるのに、「いかに自分の方が大変か」を示唆してくる教師。  そんなことを言っているから、生徒は心を開かないのだと思います。  たまたま夜遊びをしている時、学年主任の教師に見つかったことがありました。高校時代の私は、授業は不真面目でしたが、毎日遊び回るようなことはなく、その日もたまたま1日夜遊びしただけでした。  それでもその教師は「いつも夜遊び回っているから授業中に眠くなるんでしょ」なんて決めつけて。  そりゃ、授業を真面目に出席し、成績がよく、教師のいうことに従う生徒の方が可愛いでしょう。けれど、本質を見失って、憶測だけで判断するのはいかがなものでしょうか。 「何か悩みがあるの?」  そんなことをその後に言われたって、自分のことを話す気になんてなれません。 「言ってくれなきゃわかんないでしょ」  そう言われたって、あなたに理解してもらわなくても結構です。  そういった関係が生まれるわけです。 「自分の意見を表出できない子」「何を考えているかわからない子」私はそんなレッテルを貼られました。  けれど、それは違う。意見を表出できないのではなく、相手を信用できないから心の内を明かしたくなかっただけ。ただ、それだけでした。  学生は、悩みなんてなく、勉強だけしていればいいのに。責任もなにもなく、何かあったら親に対処してもらえばいいだけのくせに。  自分たちは、こんなにも面倒な生徒のせいで残業させられて、休日出勤させられて、大変な思いをしてるのに。  そんな思いがひしひしと伝わってくる大人に心を開けるわけがないのに。  そういった教師達は、おそらくなんの苦労もない学生生活を送ってきたのでしょうね。いつから教師を目指したかはわかりませんが、勉強することが嫌いではなく、そこそこいい成績を取り続けて。  両親のお金で高校へ行き、教師になるという夢を持って大学へ進学し、ようやく夢が叶ったら、自分の理想を覆すような出来の悪い、言うことを聞かない生徒のお守り。嫌になる気持ちもわからなくはないですが……。  しかし、高校の時から「働き始めたら奨学金返さなきゃなんだ」なんて思いながら憂鬱に生活してる生徒の思いなんて、親の金で高校を出た大人にわかってほしくもありません。  それでも、それが現実なのでそんなことも言わずに高校時代も耐え抜きました。
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