高校時代

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 2つ目は、妹さんとの関わりです。  ある日「海苔の補充をしておいて」と頼まれます。  お蕎麦屋さんなので、ざるそばには海苔がふりかけられます。その海苔は、大きな正方形の海苔を指でちぎって細かくしていました。  そのちぎった海苔を直径30cm、縦40cm程の円柱の入れ物の中に大量に入れてありました。私は、その存在を知っていましたが、裏に補充用の海苔があることを知りませんでした。  その入れ物を開けると、八分目くらいまで入っていたので、「なんだ、まだ入ってるじゃん」と思いながら、その入れ物を戻し、他の仕事に取りかかりました。  暫くしてから、妹さんが鬼の形相で声をかけてきます。 「ねぇ、こはるちゃん! さっき海苔の補充してって頼んだよね!? 何でやることやってないの!?」  怒鳴られ、震えました。私は、お姉さんよりも、妹さんの方が苦手でした。お姉さんは、毎日店にいましたが、妹さんは時々しか出勤していなかったので、関わる機会もお姉さんと比べて少なかったというのもあります。  しかし、それ以上にあまり笑わない人だったので、苦手意識が強かったです。  そんな方に怒られたので、内心ビビって身の置き所がない状態です。 「すみません」  だって、海苔まだあったんだもん。そんなことは言えないので、謝ることしかできません。 「すみませんじゃなくて、やってよ!」 「はい、あの、海苔ってどこにありますか?」  そう聞いた私にあからさまな大きな溜め息をつき、「わかんないんだったら、最初から聞いて! わかんないからやらないとかずるいことしないで!」と更に怒らせてしまいました。  私としては、わからないからそのままにしたつもりはありません。海苔がたくさん入っていたので、補充しなくてもいいと判断してしまっただけでした。  ただ、それを言ったらまた「言い訳だ」と怒られるような気がしたので、おとなしく怒られ続けます。  結局、海苔の補充がある場所を案内され、補充袋の中に海苔が少ないので、ちぎってその中に入れておけという意味だったことが発覚します。   それなら最初からそう言えよと思ったことは、ここだけに留めておきます。  その海苔の存在を知っていたなら、私も裏まで見に行ったかもしれませんが、存在すら知らなければ、そこまで気も回りません。    あの時、「入れ物の中にまだ海苔がたくさん入っていますが、それでも補充しますか? 補充用の海苔はどこにありますか?」と私が聞いていれば、そういったことにはなりませんでした。  しかし、極力彼女とは関わりたくないと思ってしまったがために、最悪の事態を招きました。  こういう苦い思いを経て、人は大人になっていくんですね。
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