中学生

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中学生

 タイムマシーンがあったらどこからやり直したい?  そんなバカみたいな質問を一度はされたことがあるかもしれません。  私の場合、完全に中学校入学です。  人生の半分以下に戻って人生やり直すのはそこそこキツイ。  だがしかし、部活はそれ以上に辛かった。  幼い頃から運動が嫌いな運動音痴でした。 運動会も体育祭も大嫌い。  自分なりに本気でやっていても体がついていかず、すぐに息はきれてとても頑張れない。  中学の時の成績は、5段階評価で体育1でした。  ……悲しい。  お勉強はどんなに頭が悪くても、テストの点数が全校生徒に提示されるわけではないのに、運動音痴はスポーツテストも体育祭もマラソン大会も公開処刑。  このシステムなんとかならないんでしょうかね。  当然スポーツなんてやったことはないので、小学生の時には筋肉もなくガリガリに痩せ細っていました。  そんな私には幼なじみが2人います。両方女子。  重嘘(かさうそ)(重ねる嘘を解く時、以下重嘘)の茉紀の話し方、性格はこの幼なじみの1人をモデルにしています。  そんな2人が当時のバレーワールドカップに感化され、バレーボール部に入ろうと勧めてきました。  今になって考えれば、私にバレー部なんて絶対無理。絶っっっ対に無理。  なのに、入ってしまった。  なぜなら、バレーボールというスポーツか何かを知らなかった。  はい、おバカさんですね。  小学生時代、我が家にはテレビが1台しかありませんでした。  そして、テレビの主導権は当然一家の主である父のもの。  アニメを見ていても、ゲームをしていても、父がリモコンを奪って勝手にチャンネルを変える。言わば独裁者です。  ちびまる子ちゃん状態ですね。  今でこそ丸くなった父ですが、昔はおっかなかった。現在の世の中なら虐待で捕まるんじゃないかと思うくらい、殴られ、蹴られ、真冬のベランダに下着で放り出されたこともありました。  昔は、そんなことが当たり前でしたね。時代は変わったわ。  そんなこんななので、野球好きの父が野球を見ていることはあっても、バレーボールの試合を見たことは1度もありませんでした。  運動部だった人にはわかると思いますが、大体中学の運動部は、小学生の少年団からやり続けている経験者がいます。  レギュラー陣は、そんな人達で構成されています。  そんなことなど何も知らない私は、幼なじみに唆されて入部します。  その前に母に相談したところ「こはるは昔から運動が苦手だから絶対バレーなんてできないよ。大変だからやめておきな」と反対されました。  この時には、否定されて傷付き、私も幼なじみと同じ部活に入部したい一心でした。  というのも、私には友達がいなかった。  当時、極度の人見知りで、初対面の相手とは会話ができませんでした。  相手との距離感もわからないし、友達を作る方法もわかりませんでした。  クラスメイトに話しかけられれば、普通に会話はできますが、自分からは無理。そんな状況。  くせっ毛と顔面コンプレックスが余計にそうさせたのでしょう。  作品〔ブサイクな天使〕はそんな中で生まれました。  ですから、幼なじみと離れて一人違う部活に入部するのは、自ら孤立するのと同じ。それだけは避けたかった。  今の私なら、別に一人でもいいじゃないか。休み時間も昼休みも自由に使って、放課後は自分のタイミングで帰る。素晴らしい。そう思えるけれど、とにかく昔の私は、一人は耐えられなかった。  当時の私にとって、優先順位がそこだったというだけで入部しました。
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