第1章:絵本と本は微妙に違うらしい。

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「澤田さん、洸紫さん、おはようございます。」  美海ちゃんはいつも礼儀正しい。  ロクさんは「よっ。」とおそらく人ができる最短の挨拶をする。  台本読みが始まる雑談の際に、本について澤田さんが聞いてくれた。 「最後に読んだ本は?」とロクさんも澤田さんと同じ質問をする。 「いもむしの大冒険です。絵本になってしまいますが。」と答えるとロクさんは馬鹿にせず「おお。絵本がラストか。なんか洸紫くんらしくていいじゃん。」と言ってくれた。 「今度持ってくるよ。絵本に負けないやつを。」ロクさんは爽やかに言う。そして台本読みが始まった。  主演映画は『制服を脱がせて。』というエロしか連想できない内容なのだが、制服へのフェチズムが作品の本質だ、と澤田さんは言ってたな。  フェチズムの意味がわからないと聞いたら「え、足フェチとかよく言うだろ。」と速攻で返された。  澤田さんは足フェチなのかな?俺はちょっとふくよかな人が好きだ。おっぱいとお尻とか男にはない柔らかさっていいよな〜。  ってアホなことを考えてると自分の台詞の番が来た。 「高校合格おめでとう。制服よく似合ってるよ。」  俺はヒロインの従兄弟で彼女が通う高校の先生役だ。  かなり振り切った配役だなと自分でも思う。 「ありがとうございます。」    可愛らしい声で答える美海ちゃんは、とてもおっぱいが大きいのだ。  去年出演していたホラー映画でブラジャー姿になるシーンを見た時は、色んな意味でびっくりした。  制服のデザインはまだ決まってないらしいけど、なんでも似合うな彼女なら。  
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