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台本読みが終わった後、ロクさんは俺に話しかけてきた。
「洸紫くん、やっぱセンスあるね。」
「え!ありがとうございます。」なんのセンスかよくわからないけどお礼を言う。
「直前まで違うことしてたのに急に呼ばれても対応できる応用力がある。」
ロクさんは自分に言い聞かせるように話す。
確かに自分の番が来るまで集中していなかった。バレてたのかなと思い何も言葉を返せず黙ってしまった。
「洸紫くんみたいなタイプは準備させちゃだめなんだよな。本の件考えるから楽しみに待っててね。」
「は、はい。」本の件とセンスが関係あるのか。よくわからないけどこんな俺のために考えてくれるなんて嬉しい。
ふと美海ちゃんを見ると澤田さんと嬉しそうに話している。
この2人はいい感じだが付き合っている訳ではなさそうだ。
澤田さんはあんまり女慣れしていないような気がする。俺もそうだけど。
特に美海ちゃんみたいなおしとやかなタイプはどう接していいかわからない。
あんなに可憐にみえる彼女が演技になると悪女になる瞬間を思い出しちょっと身震いをした。
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