目が覚めたら、白

ペンキをまこうと思った。

白がきれいな部屋だった。

私は白が好きだったから、部屋中を、白のペンキで塗りたくった。
壁も、床も天井も。
真っ白な部屋が出来上がって、私はその中でずっと暮らしていたのに。

どうして、こんなことを思ったのだろう？

部屋の中にはカラフルなペンキたち。
大きなバケツに、並々と注がれていて、今か今かと出番を待っている。

白がきれいな部屋だったのに。

あっ。
床が、緑になってる。

私はペンキを勢いよく持ち上げる。
持ち上げた瞬間、ペンキが大きく波打って、床にこぼれおちた。

白がきれいな部屋だったのに。

目をうつすと、赤が、緑が、黄色が、床におっこちているのが見える。

さわってみたら、広がるだろうか。
この、白がきれいな部屋に。