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ーー命たちは自宅に戻っていた。
「アナタたちよくやってくれたわ」
命の声は涼しげな微風のよう。
「いいことをしたわね」
ミィが片目をつむる。
「ボク思い出したんだ……」
ケミーはさっき見た夢の内容を伝えた。
「そうだったのね。アナタにはお礼をしないとね」
命は庭に出ると、ミカンの木から実を二つ取ると、縁の下の床に置いた。
「さぁ、アナタたち食べてちょうだい」
命は言うと、ケミーはミカンを頬張る。
命は分裂したミカンをしっかりと見つめている。
「ふぅ?」
ケミーから変な声がもれた。
ケミーは少しずつ宙に浮き、自分の前足が透明になり始めているに気づく。ゆうれいだけど、その透過は更に増していた。
縁の下に居る命とミィの姿が変わっていた。
一瞬のことだったーー。
命は黒地に花柄の着物姿になっている。
ミィのしっぽは二本に裂け、ふわふわと宙に浮いている。
ケミーは宙に浮きながら混乱した。
「みんな、どうしちゃったの?」
ケミーの問に、命がゆっくりと答えた。
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