目覚めた子犬

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 「私はね、美の神様なのよ」  「びってなに?」  ケミーは小首をかしげる。  「ふふ、冗談よ。私はこの地区を担当する。神様にも階級があってね。私はまだ見習いなんだけど。さっきの出来事もあの世から見ていてね。急いで戻って来たってわけ」  「ミィはなんでしっぽが二本になってるの?」  「私はね、生まれ死んでを繰り返している内に猫又になったのよ。分かるかしら猫又?猫の妖怪よ。私は命さんの補佐をしながら、ケミーみたいなさまよえる魂を迎えて、あの世に成仏させる仕事をしているの。ケミーはもう選ばれたのよ」  ケミーはぐんぐん空に向かって昇っていく。  「ボク、成仏しちゃうんだね。また命さんやミィに会えるかな?」  ケミーの声は震えている。  「あの世で落ち着いたら、また会いましょう。私ならいつでもあの世に通勤しているから」  命の北風のような声に南風のような暖かい響きがある。  「私も会いにいくわね」  笑いながらミィは言った。  「みんな、またねー!!」  ケミーは天に昇っていき、姿が空に溶け込んで見えなくなった。
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