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どうしよう。どうしよう。
ボクはどうなってしまったのだろう。
いつの間にか死んでしまったのだろうか……。
まったく記憶にないんだ。知っているのはケミーという名前と、自分が赤毛の犬だということ。
公園で途方に暮れていると、柔らかだった日差しが、だんだんと真っ赤になり、人々が公園の外で忙しくしているのが見える。
もうすぐ夜になる。
ーーケミーはこの公園から出ては行けないと直感的に思っていた。何故だかそう感じていた。
もしかしたら、悪い幽霊につれていかれるかもしれない。
もしかしたら、そのまま迷子になってしまうかもしれない。
子犬のケミーは暗くなっていく公園のベンチの下で小さく丸まっていた。
公園は夜になり真っ暗。
ケミーは泣きわめいていた。さみしくて、怖くて、不安だった。
声がかれてくると、ケミーは泣き疲れて眠ってしまった。深いふかい眠り。
ケミーは夢を見た。幼い女の子と河川敷の原っぱで追いかけっこをしている。
きっとこの女の子がケミーの家族だったのだろう。
女の子とはとても仲がいい。ケミーは夢の中で自分の家族に会えたような気がした……。
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