16人が本棚に入れています
本棚に追加
朝もやの中、ケミーは誰かに叩かれたような気がした。
ーー誰だろう?
薄く目を開けると、茶白色の猫が大写しになって目に飛び込んできた。
「ねぇ、アナタ迷子になってるでしょ?」
茶白の猫は言った。
「何でわかるの?ボク、いつの間にかここにいたんだ」
ケミーは仲間が現れたことで声が震えてしまった。
「わたしはミィ。この世に住まうゆうれいネコよ。アナタもそうなんでしょ」
「ボクはケミー。いつの間にか死んじゃってたんだ。どうしてボクは死んじゃったんだろう?」
「どうしてかしらね。死んでしまったなら、やることは二つ。成仏するか、この世に残るか」
ミィはじっとケミーを見つめている。
ケミーはふーっと息を吐き出して言った。
「ボクは天国に行きたいよ」
「それなら私の寝床についてらっしゃい。そこで色々お話しましょう」
ケミーは嬉しくなって、ワンワンと吠えてしまった。
ミィは行くわよと言って、ケミーを公園の外へ連れ出してくれる。
どきどきする。
ケミーは公園の木立にゆらゆらと影が揺れているのを見てギョっとした。
あわててミィに付き添って歩いていく。
ミィがいるから心配いらないよね。
最初のコメントを投稿しよう!