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多恵子とお千代はATMに映ったビデオをもう一度見た。
現金の出し子が捕まった時大勢の野次馬が見ていた。
「ほら、これが重蔵だよ、庄屋のドラ息子で
あたいらにひどい事したんだ、人も殺してるし」
重蔵は髪は丸刈りで無精ひげを生やした鋭い目つきの
男だった。少し前からATMの男を見ていたが
警官に捕まった時、スッと去って行った。
他の野次馬は捕まってから犯人の顔を興味本位で見ていた。
「重蔵はこの事件の関係者だね、取り押さえられた瞬間に
姿を消したもん、他の連中は見たがってる」
重蔵は出し子が金を手に入れるのを監視する役だったかもしれない。
「お多恵ちゃん、こいつの顔よく覚えててね、でも・・
重蔵が逃げる前にお多恵ちゃんをじっと見ていたから
奴に覚えられたかも、あいつは女を動物みたいに扱うんだ」
大丈夫よと言う多恵子にお千代が話し出した。
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