神様(仮)

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神様(仮)

根羽堕 国雄は呆れている。何に呆れているか、それは遠くで闘う巨大怪獣と総理大臣という何とも滑稽な光景にだ。こんなことが始まったのは、3ヶ月前。ある日突然始まった。1日1回、普通じゃ起こり得ないことが起こる。そして1日の内に決着がつく。最初は随分と騒がれたものだ。ニュースで毎日中継したり、神の世直しだ!とデモしたり。でも最近は疲れたのか中継するだけだ。リポーターも黙って見てるだけ、居る必要無いだろ。だが、“これ„が始まってから根羽堕の信者は増えた。根羽堕の職業は新興宗教の教主だ。信者も50人くらいの、のんびりした宗教だった。信者も月に5000円位しか払わなくていいから、悩み相談教室くらいに思っていたのだろう。だか“これ„が始まると、世界を、世界の仕組みが、信じられなくなった人々が大量に押し寄せてきた。今では信者が約600人のそれなりの宗教になってしまった。バーを借りて週に1回だらだら皆で話すだけだったのに、今では熱心な新入りが町外れの屋敷を買って、そこで活動しようと言ってくる。乗り気ではないが、善意からの行動だから、断るわけにもいかない。何故そこまで熱心に尽くすのか、驚き。から不思議。そして、呆れ。もう、全てに呆れている。こんななら、俺が創り直してやろうかと思う。フフッ こんなことを思うなんて、俺もこの世界に適応したのかもしれない。昔は集まっていたバーのビルの上から、総理と怪獣の闘いを見ている。そんな光景を普通と受け入れつつある自分に呆れと、笑いが込み上げてくる。可笑しくて空を仰ぐ。「馬鹿らしい。」
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