脳卒中

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脳卒中

「目が覚めたら白」と言ったら、病院の集中治療室だろう。急に倒れて、病院に運ばれて、親の連絡先などを聞かれたまでは覚えているが、次に目が覚めた場所が病院の白い壁に囲まれた集中治療室だった。 脳に痛覚がないというのは本当で、脳内の血管が破裂していたのにまったく痛みはなく、ただ急に立っていられなくなって病院に救急搬送されました。 頭が痛いと感じていれば、脳に異変が起きたと分かりますが、それがないのですから、当事者としてはただ困惑するしかなかったです。幸い、周りにいた人たちが急いで救急車を呼んでいただいたので助かりましたが、あの時、周りに誰もいなかったら、何が起きたのかもわからず死んでいたかもしれません。 病院に搬送されて術後、集中治療室で気が付いた直後は、自分が脳卒中で、緊急手術が必要なほど危険な状態だったとは分かりませんでした。最近の医学はカテーテルなど進んでいて、脳内の血管破裂による脳卒中でも、こめかみの部分を少し切った程度で、大きな手術跡はなく、頭の包帯がなければ手術を受けたんだという自覚はありませんでした。 実際、目覚めた直後は、ちょっと気分が悪くなって倒れただけかなと思っていた節もありました。だが、脳卒中の後遺症による左半身の麻痺で、自分が自由に動けない一人でトイレにいけないなどという事実を、集中治療室から一般病室に移るまでの間に嫌というほど自覚させられました。ちょっと気分が悪くなって倒れた程度ではなく、大変なことになったと、リハビリを開始してから痛感しました。まず、三点杖を使っての歩行訓練を始めました。入浴も補助なしでは最初、満足に体が洗えませんでした。 倒れる前までは、普通に登れた階段も、うまく登れなくなりました。ただ、まっすぐに立つだけでも、麻痺した左半身が震えたりもしました。さすがに最近では、左足の震えはなくなり、名鉄ハイキングやJRさわやかウォーキングの平坦なコースなら歩ける程度には回復しましたが、倒れる前にできたパソコンのブラインドタッチは出来なくなり、現在も、この文を右手のタイピングのみで入力しています。
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