6. 七福神にお祓い

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6. 七福神にお祓い

 週の初日、青葉順は早出した。  工場裏に停めたバンのドアを開けた。永矢摩神社から持ち帰った物が載ったまま、始業前に降ろさねばならない。  ほとんど木箱のギターアンプを降ろし、次ぎにキーボードを降ろした。台車に乗せて、倉庫の隅へ。そして、ギターを3本取った。 「やあ、早いね」  久麗爺が声をかけて来た。 「お早うございます。永矢摩神社のステレオ、タップコードが断線してただけなので、簡単でした。いっぱいお土産をもらいました」 「みたいだな」  順は電気道具を降ろし、バンの床に残った縄を久麗爺に渡した。 「それは注連縄の試作品らしいです」 「これが・・・注連縄?」  どう見てもビニールロープを束ねただけの物だ。角度を変えて見て、想像力を働かせる。 「しかし・・・普通、注連縄と言えば稲わらを編んで作るものだろう。ビニール製と言うのは、ビニール紐の工場の神棚なら・・・」 「最近は、注連縄に使う稲わらが手に入りにくらしいです」 「そりゃあ、刈り取り機のせいだろう。いや、刈り取った後の脱穀機の段階だな」  最新の機械式刈り取りと脱穀では、機械に通る規格に合わせて稲を裁断する。長い稲わらは残らない。そのため、神社へ奉納する注連縄のためには、特別に手作業で稲を根元から刈り取って脱穀する。この手作業ができる人材が老齢化で不足している時代だ。 「ううむ、化学繊維はふさわしくないとして、天然繊維で作れば神社に奉納できるかな」  久麗爺はあごに手をやり考え始めた。  にっ、何か思い付いたらしい笑み。そそくさと科学屋へ姿を消した。 「おはよー」  シェーリが自転車で出勤して来た。  時計の長針と短針が重なる、12時になった。順は手を止め、休憩所へ行こうとしていた。  と、久麗爺が台車を押して工場に現れた。志藤と一緒に機械を降ろし、組み立て始めた。 「何ですか?」 「昔々、作ったやつだ。用途を変えて、再挑戦さ」  またクレージーが始まった・・・順は背を向け、昼食を優先した。
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