脱出ゲームで幸運と筋肉と超能力を使うのはレギュレーション違反

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脱出ゲームで幸運と筋肉と超能力を使うのはレギュレーション違反

 肌に冷たい感触を覚え、ここがベッドの上ではないと気が付いた。目を開くと、どうやら石畳の床に倒れていたらしい。 「ここは……?」  埃っぽい匂いがする。立ち上がってぐるりと周囲を見ると、六畳くらいの部屋で、物が全くないため、生活空間ではないことが分かった。目の前に鉄の扉があり、それにダイヤル式のロックがかけられている。それに加えて、上の方に監視カメラとスピーカーみたいなものがある以外には、何もない。 「監禁か?」  真っ先に浮かんだ考えを口にしてみる。いや、監禁にしてはおかしい点がいくつかある。まず、拘束も何もされていない。普通、逃げられないように手足を縛ったりするはずだ。  監視カメラとスピーカーがあるということは、何か指示をして、それを観察したいということだろうか。あと数分もすれば、僕が起きたことに気が付いて、何かしらの反応がくるだろう。  窓もないし、酸欠とか大丈夫だろうか、と考えながら適当にダイヤルを回してみる。数字は二十桁だ。0から9まで数字を選べるということは、9の20乗で…………百万通りくらいだろうか。まぁ、よく分からないが、片っ端から試すのは無謀だと思われる。  20個目のダイヤルの数字まで回し終わると、ガチャリという音がして、直後に、重たいものが落ちる音がした。ロックが外れたことにより、錠が抜け落ちたのだろう。  扉を開けると、錆びついているのか耳障りな悲鳴を上げながらゆっくりと開いた。黒板をひっかく音みたいな、嫌な音だ。  直後、右側から爆発音のような音がして、扉が吹っ飛んだ。 「マァァァァァッッッスルッッッッッ!!!!!」  扉を吹っ飛ばした人物を見ると、筋骨隆々という言葉がぴったりの男が謎のポーズをとっていた。マッスルポーズというやつだろうか。鍵の扉の残骸を見るに、鍵がかかった状態のまま扉を破壊したようだ。明らかに素手では無理な所業のはずだが、その男は何も持っていない。 「…………うるさい」  唖然としていると、左から新たに人が出てきた。華奢な少女だ。背丈は小さいが、達観した目をしている。気のせいか、扉を開けるとき身体が触れていないように見えた。    
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