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さて、冒頭で書いた、厄介なご婦人のお話。
午後は急患新患が多く、お約束の時間より30分も遅れて診療室に導入。
平謝りの私に「いえいえ、大丈夫ですよ」とにっこり。
何だイイ人じゃん…
とホッと胸を撫でおろしたのも束の間。
昼休みに受付さんや衛生士さんが「ちょっと何言ってるか理解できなかった」と首を傾げていたのが納得できました~~
※午前中※
「上の入れ歯が壊れてて、噛むと痛い」という主訴にもかかわらず、入れ歯を持ってこなかったとのこと。
「下の入れ歯は、合ってないから使ってない」とのこと…
ちなみにこの患者さん、上下とも無歯顎(一本も歯がない)の方です。
時間を戻して、私が「入れ歯はお持ちいただきましたか?」と訊くと「持ってきた、けど下の入れ歯は見当たらないから捨てちゃったかも」と言って、上の義歯だけバッグから取り出して渡してくれました。
一目見て、下記の3点に驚愕。
1.無歯顎なのに、パーシャルデンチャー(部分床義歯)。
左上の4番と7番にクラスプ(ワイヤーのばね)がついてる。
2.口蓋に補強線が入ってるからかろうじて左右つながっているけど、左側の歯列に近い床部分が完全に折れて、ひん曲がっている。
3.粘膜面にも研磨面にも、黒いカビのようなものがびっしりついている。
「これ…カビじゃないですか?」と私が思わず口に出すと
「まさか、違うわよ!タバコ吸うからヤニよ。
毎日洗ってるのに、カビなんてあるわけないじゃない」
とご立腹。
こんな真っ黒いヤニ、技工士になって〇十年、見たことないよ!
私は頑張って言葉を飲み込む。
食物残渣がついてないところを見ると、洗ってはいるのだろうけど…
ちゃんと歯ブラシしてないなあ。
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