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ニホンという国にある屋敷に、黒い服を纏って杖を付けながら、屋敷の中を歩いている黒髪ストレートの女性がいた。
彼女こそ、第44代目死神家当主である。
彼女は洋室に入って行くと、先に来ていた先客が、座っていた椅子から立ち上がって礼をした。
「おはようございます。死神家当主」
座っていたのは、知り合いの“アキ”という男性だった。
「呼び捨てでもいいんですよ、アキさん」
「一族は階級が一番ですから。まぁどちらにせよ、俺は誰でも敬語を使いますよ」
「そうですか」
「さて、本題に入りましょう。」
「そうですね。 ユキコ、飲み物を出しておくれ」
死神家に雇われている使用人の“ユキコ”が、二人に飲み物を差し出した。
「ありがとうございます。ユキコさん」
ユキコは話しかけてくれたアキに関心も向けず、黙ったまま出て行った。
「ごめんなさい、ユキコはあまり話さない子なんです。」
「いえ、大丈夫です。」
アキは持ってきた鞄から、何かの書類を渡した。
「これが今回の件ですか…」
彼女は書類を見ながら、アキの話を聞いていた。
「今回の件は、ある暴力団です。」
「暴力団… 今度は何組ですか?」
「阿波座組です。」
「初めて聞きますね、新生暴力団ですか?」
「えぇ、そうなんですが… ちょっと疑いがありまして…」
「疑い?」
「組長が一族の者ではないかと噂されているんです」
「それは… 大変なことね、この書類を見る限り、組長じゃなくても一族と関係がありそうな気がするわ」
「そういうことです。あと、明日は一族の集会ですので、遅れないようにお願いします。」
「めんどくさいけど…」
「天照大神様が死神家に会いたがってます。」
「知ってるわ。マリナ直属の手紙が来たのよ」
彼女は左手に手紙を出した。
「届いていたんですか。返事がなかったから届いてないのかと思いましたよ」
「私は返事を返さないだけ」
「届いていたなら結構です。では俺はこれで。」
話を終えると、アキは立ち上がって帰る準備をしていた。
「ユキコ、玄関まで見送ってあげて、」
ユキコは洋室のドアを開けた。アキは洋室を出ようとすると、後ろを振り返った。
「あと、ジオさんもこの件に関わっていると思いますよ」
そう言って、アキは出て行った。
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