始まり

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始まり

 初めてピアノの先生の家に行く日、母は私に水色のワンピースを着せ、髪にガーベラの飾りを付けてくれた。ワクワクした。暖かい春の日曜日だった。  ピアノの先生はR学園高校の音楽の先生で、日曜日の午後に兄と、もう一人兄の友達にだけピアノを教えていた。  塩崎先生というピアノの先生は若く、まだ高校生くらいにしか見えなかった。 「メイちゃんは、どんな曲を弾きたいの?」 と、まだ5歳の私に聞いた。 「やさしい曲」 「ステキな答えだな。いろいろな優しい心を感じられたらいいね。」
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