温泉ホテル

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 一度ぐっすり眠った。夜中にハッとした。誰かにキスされた気がした。キヨじゃないのはわかった。怖くて目を閉じたまま眠ったふりをしていた。もう一度、そっと唇が唇に触れた。その後、ポタッと頬に水滴が落ちた。薄く目を開けるとミンジェが見えた。涙が出ていた。私は眠ったままのふりしてキヨにしがみついた。キヨの髪に顔を押し当ててジッとしていたら眠ってしまった。  朝、目覚める前、キヨが私の背中側からピッタリ抱きついてお尻のあたりにキヨのアソコを押し当てていた。キヨは時々、アソコを私に押し当てる。そうすると何か落ち着くらしいことは感じていた。  その時、キヨの手が私のアソコに伸びてきて指がクリにそっと触れた。キヨがなぜそんなところに触ってみたいのか不思議に思った。 「お風呂行く?」 と兄がミンジェに聞いていた。 「行こうか」 とミンジェが答えた。 「メイ、キヨ、お風呂行かないか?」 と兄が大きな声で聞いた。 「う・・・うーん、行こうかな」 と、キヨは今起きたみたいな声で答える。 私も眠かったけど起きた。  スンミンは先にお風呂に行ったとミンジェは言った。  私たちが大浴場に入ると塩崎先生も入っていた。 「おはよう。昨日の夜は楽しく遊んだの?」 と塩崎先生に聞かれた。 「うん。楽しかった。」 と答えながら私は先生のアソコが気になって、つい凝視した。 「あ、気になる?メイにはないからね。男はコレが勝手に暴れて困るんだよ」 と手で触りながら笑って言った。 「触ってもいい?」 と私は聞いた。 「いいよ。優しく、そっとね。」 と先生は言った。 触ってみた。柔らかくてふわふわしていた。 「勝手に暴れたりするの?」 と私は聞いた。 「自然に大きくなったり小さくなったりするのさ。女の子には、わからないかもしれないなぁ。大人になったらわかるのかなぁ?女になってみないとわからないな」 と先生は笑った。    私はキヨのアソコがそうなることは知っていたけど黙っていた。  先生は大きな手にボディーソープを泡立てて私の体をクルクルッと洗ってくれた。気持ちよかった。 「僕も洗って」 と隣からキヨも言った。 先生はボディーソープの泡をたくさん作り私たちの体を一緒に 「あわあわあわあわ!あわあわあわあわ!あわあわあわあわあわあわ・・・」 と泡だらけにして、ふざけた。私たちはキャーキャー笑って喜んだ。  兄はそれを見て 「僕らもやってみる?」 とミンジェに言った。どこからスンミンが現れて先生の真似して 「あわあわあわあわあわあわ!」 と兄とミンジェの体を泡で包んだ。兄たちも 「ヒャーくすぐったい!」 と言いながらキャーキャー笑って楽しそうだった。  みんなで露天風呂に入ってから朝食バイキングに行った。私は背が低過ぎて並んでる料理が見えないし取れないのでスンミンが抱き上げたり取ったりしてくれた。  旅行の間は母や父には触れ合わなかった。その方が旅行らしくて楽しかった。実際にはみんなに監視されていたのだろうけど、自分としては自由に楽しめた気分だった。  帰り際に、スンミンは 「メイちゃん、今度、うちに遊びにおいで。キヨも一緒にさ。また、みんなで遊ぼう!」 と言ってくれた。 「うん。またね!」 と私は言った。  父母と兄は大型スーパーに寄って帰ると言ったので、とりあえず私は塩崎先生の車でキヨと一緒に先生の家に帰ることにした。  帰る車の中で、キヨは 「スンミンの家になんて遊びに行かない。メイも絶対行ったらダメだからね。」 と言った。 「どうして?」 と先生が聞いた。 「スンミンもミンジェもメイを狙ってる。怖い。僕がもっと大きくなって強くなったらメイを守れるけど。僕も空手習おうかな。」 「空手で手をケガしたらピアノ弾けなくなるぞ」 と先生は言った。 「私、どこへも遊びにいかない。キヨはピアノいっしょに弾いてくれる方がいい。空手なんてやめて。」    しばらく走ってから先生はキヨに言った。 「メイが誰とでも仲良くできるようにしないと、ずーっとメイとキヨの2人だけで遊んでいたら、キヨがメイと遊べない時、メイは一人ぼっちになっちゃうよ。」 「僕は死ぬまでメイといっしょだよ」 「もし、キヨが先に死んだらどうするんだ?」 先生は苦笑して言った。  私はキヨがかわいそうに思ったから、先生にこう言った。 「キヨがいなくなったら先生といっしょにいるからいい。キヨも大好きだけど、先生も同じくらい大好きだから。」 私の心にウソはなかった。初めて塩崎先生を見た時、先生を大好きになったのが私の初恋だった。  キヨは怒ったふうに言った。 「パパは大人じゃないか。僕と同じくらい好きなんて変だ。」 「わかった。じゃキヨが一番好き。先生は二番に好き。それでいい?」 「良くない。僕だけを好きでいてほしいんだ。メイは僕のメイだ。僕もメイだけの僕だから。それじゃないと僕、ガマンできない。」  塩崎先生は困った顔をした。私はキヨの気持ちはわかる気がしたから 「じゃ・・・キヨだけ大好きでいる。ずっとずっとずーっとキヨだけ大好きでいる。キヨが死ぬ時は私もいっしょに死ぬ。約束する。」 と言って小指を出した。私はキヨと指切りした。  キヨの気持ちは少しずつ変わると私は思った。大人になるまで、そんなこと思い続ける人はいないと思った。
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