三月十六日(水) 朝 カフェ・エナック

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「お互いに、つまんねぇ仕事させられたんだよ。まあ、オレは慣れっこだけど」 「つまんねぇ……仕事」  その言葉だけが脳内に異様に響き渡る。  志穂はミルクティーのカップの渦を見つめたまま言った。 「……どうして、私にそんな話を」 「うんにゃ、これに懲りず頑張れって言いたかっただけだよ」  堀江がニカッと笑った。 「エリートのお嬢ちゃんなら、すぐに次のプロジェクト任されるはずだろ?オレとはこれっきりかもしれねぇけどさ。ま、もし機会あったら、その時はまたよろしく頼むぜ」  そう言い残すと、堀江は店を出ていった。
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