三月十六日(水) 朝 カフェ・エナック

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「つまんねぇ仕事」  帰路の地下鉄コンコースで思わず口に出た。  その瞬間、不思議と目から涙があふれ出た。  何で、こんな気持ちにならなきゃいけないの。  志穂は、無意識にスマートホンを取り出していた。画面にかつての同級生の連絡先を表示させる。  モモカワ――。  程なくして応答した相手の声は、とても嬉しそうだった。  志穂は、単刀直入に用件を伝えた。 「あの土地、今すぐ譲渡の手続きして欲しいの」
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