22人が本棚に入れています
本棚に追加
パートスタッフは少し面倒そうな顔をして言った。
「いいえ、あの、クレームとかお客様とか……ではないと思うんですけど、お若い男性がいらっしゃってまして」
「お若い男性?」
「はい……あ、あちらの方です。あとはよろしくお願いします」
スタッフが立ち去ると同時に、書棚の間から若い男が姿を見せた。上質なスーツに身を包み、小脇にグレーのスプリングコートを抱えて会釈をする。
「おはようございます。お忙しいところ、失礼します」
その言葉に、成島も自動的に反応する。
「ああ、すみません……今は、ちょうど間に合ってまして……数冊くらいでしたら、まあ余裕あるかもしれませんが……」
最初のコメントを投稿しよう!