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津田は続けた。
「それで、実は元社長の喜一さんに再び経営権を、と考えていたのですが、何しろご高齢で行方もわからない状態だったんです。それが、開発事業の傍らで、お孫さんが喜一さんの所有地を整理していると弁護士から聞きましてね。名刺を頂戴したのです」
津田のにこやかな眼差しを、思わず成島は見つめ返した。
「弁護士から……名刺って……あ!」
――宇佐見先生か!
雨の中、神森神社で異国顔の弁護士と遭遇した際、成島は自己紹介を兼ねて名刺を渡したことを思い出した。その時は、まさか宇佐見がTN地所レジデンシャルの関係者とは知る由もなかったが、確かに尋問の仕方や妙な圧力は、どこか只ならぬものを感じたのだ。
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