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一瞬で3人が倒され、呆然とするヤンキー達に雅也が言う。
「なぁ、もう3対3になったけどさ、まだやるの?」
誰も口を開く者がいない。代わりに、大河が口を開く。
「ダリぃから、俺ら帰るぞ。邪魔だからどいてくんねぇ?」
戦意を喪失した3人は、素直に道を譲った。
「ほい、大地」
雅也がメットを寄越す。俺は、サンキューと言って受け取った。
「だ、大地って……まさか、プレアデスの大地……さん?」
「なに、あんたら、俺らが誰か知らないで喧嘩売りにきたの?」
「煙草嫌いの大地……」
プレアデスとは、俺達のチームの名前だ。
バリバリの喧嘩上等。
リーダーは、阿松大地。つまり俺。
俺のチームには、煙草を喫う奴がいない。俺が煙草嫌いだから。
プレアデス。和名は昴。
昴兄ちゃんは、俺のヒーローなんだ。
あの日、昴兄ちゃんは、自分の命と引き換えに、俺を自由にしてくれた。
俺の目の前で、母親に刺されたヒーローの姿は一生忘れられないだろう。
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